私の中には《ヤツ》がいる。
何かにつけて、「なんで?ねぇなんで?」って聞いてくるんだ。
《ヤツ》は常識が無い子どもみたい。
または地球に初めて来た宇宙人。
そして《ヤツ》は面倒くさい。
「そーいうもんだから!」で、納得するはずがない。
《ヤツ》の「なんで?」攻撃はしつこいんだ。
ある日《ヤツ》の声があまりに大きく聞こえすぎて、
耳を塞ぎたくなった。
私はパニックになって
家を飛び出した。
でも《ヤツ》は容赦ない。
なんで?なんで?ねぇなんで?
私は必死で逃げた。
わからない。わからない。わからないよ!
そして、私はついに逃げるのをやめた。
《ヤツ》と向き合うことにしたんだ。
耳を塞ぐのではなく、耳を澄ますことにした。
《ヤツ》の「なんで?」には相変わらず答えられないけど、
辛抱強く一緒に考え続けることにした。
そうしたら、面白いことが起こり始めた。
私の目がグルっとひっくり返って、
《ヤツ》の目でも、この世界を見れるようになったんだ。
で、それこそが、自分本来の目だった。
私の目が開いた。
だから、私はこれからも
《ヤツ》と一緒にこの世界に問いかけていきたい。
「なんで?ねぇなんで?」って^^